不動産用語集

あ行

預かり金

他者から預かっている金銭。例えば、賃貸住宅を貸したときに受領する敷金、支払い給与から源泉徴収した税金、取引に当たって受け取った保証金などは、いずれも預かり金である。

預かり金は、いずれは返還しなければならないから、貸借対照表では負債として処理される(1年以内に返還するものは流動負債、1年を超えて預かるものは固定負債)。

なお、返還する必要がなくなった預かり金は、金銭の支払いを受けたことになるので、収入として計上する。また、「預かり金」の逆は「預け金」である。

意思表示

一定の法律効果を欲するという意思を外部に表示することである。
意思表示は次の3つの部分から構成されている。

1.内心的効果意思
具体的にある法律効果を意欲する意思のこと。例えば、店頭で品物を買おうと意欲する意思が内心的効果意思である。

2.表示意思
内心的効果意思にもとづいて、その意思を表示しようとする意思のこと。
例えば、店頭で品物を買うために、店員にその旨を伝えようとする意思である。
(なお、表示意思を内心的効果意思に含める考え方もある)

3.表示行為
内心的効果意思を外部に表示する行為のこと。
例えば、店頭で品物を買うために、店員にその旨を告げることである。

なお、内心的効果意思のもととなった心意は「動機」と呼ばれる。例えば、品物を家族にプレゼントしようという意図が「動機」である。しかし、現在は判例・通説では「動機」は原則として、意思表示の構成要素ではないとされている。

居抜き

店舗や工場などを、その内部の商品、設備、什器備品などを設置したままの状態で売買・賃貸すること。

従って、居抜きで購入もしくは借りた場合は、以前のままの内装や設計設備等が付帯するので、比較的早期で営業にこぎつけることができる。

印鑑証明書

捺印された印影(印を紙などに押した跡のかたち)が、あらかじめ届けられた印影(印鑑)と同一であることを証明する官公署の書面。届出できる印鑑は一つに限られている。

公正証書の作成、不動産登記、重要な契約などの際に、文書作成者が本人であることを証明するため必要とされる場合が多い。

印鑑証明書の交付は、個人の印鑑については、通常、市区町村長が条例等に従って行なうが、商業登記に当たって提出した印鑑については登記所が担当する。 

印鑑届けをした印影を生む印が「実印」である。

営業保証金

宅地建物取引業者が営業を開始するにあたって、供託所に供託しなければならない金銭。この保証金は、宅地建物取引業者との取引によって生じた債権の履行を担保する機能を果たす。

営業保証金の額は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円である。

なお、宅地建物取引業保証協会の社員は営業保証金を供託する必要はなく、代わりに同協会に対して弁済業務保証金分担金を納付しなければならないとされている。分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円である。

オンライン重説

不動産取引における重要事項説明をオンラインで実施すること。「IT重説」と同じ意味で用いる場合もあるが、重要事項説明の手続きをすべてオンラインで実施するときには、(1)インターネット等を利用して対面以外の方法で説明すること(IT重説)と、(2)重要事項説明書を電磁的方法で提供すること(書面の電子化)の2つの方法を組み合わせることになる。

オンライン重説の手続きの(1)は、宅地建物取引業法が定めている重要事項説明における対面原則の例外、(2)は、重要事項説明書の書面交付義務の例外である。

オンライン重説に当たっては、消費者が不利益を被らないよう措置することが重要で、取引相手方の承諾を得るとともに、双方向で確実にやりとりができること、電子署名等によって本人証明や文書改ざんがないことの証明を行なうこと、電子書面を「電子帳簿保存法」に定められた方法で保管することなどの要件を満たさなければならない。また、重要事項説明は宅地建物取引士が実施しなければならない。

なお、IT重説と書面の電子化は別の手続きであって、片方だけ実施することもできる。

か行

解約

法律行為の一つで、意思表示により契約関係を消滅させることをいう。

意思表示の時点から将来に向けて契約消滅の効果が生じる。

例えば借地借家法では、定期建物賃貸借に関して、「やむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する」と規定している。

これに対して、契約の解除は、過去に遡って契約関係を消滅させることであるとされ、例えばクーリングオフによる契約の消滅は、解約ではなく解除による効果である。もっとも、解約と解除が混同されることも多い。

解約に伴い、一般的に、契約当事者は原状回復義務務を負うことになる。

貸主

不動産賃貸借契約において、不動産を貸す人(または法人)を「貸主」という。

不動産取引においては、取引態様の一つとして「貸主」という用語が使用される。

この取引態様としての「貸主」とは、「賃貸される不動産の所有者」または「不動産を転貸する権限を有する者」のことである。

 貸主は宅地建物取引業免許を取得している場合もあれば、そうでない場合もある。

 なお、不動産を賃貸することのみを業として行なう場合には、 宅地建物取引業の免許を得る必要はない。

空室対策

賃貸住宅やビルの経営において、賃借人テナント)がいない住戸(空室)を解消することまたはそのための方策をいう。

空室対策は、借主のニーズにより良く応えることを基本として実施される。
例えば、賃借人の属性を広げる、家賃、敷金など賃借条件を適正化する、リフォームリノベーションなどによって賃貸スペースの価値を高めるなどが行なわれている。

競売

債権者が裁判所を通じて、債務者の財産(不動産)を競りにかけて、最高価格の申出人に対して売却し、その売却代金によって債務の弁済を受けるという制度のこと。

原状回復

ある事実がなかったとしたら本来存在したであろう状態に戻すことをいう。

例えば、契約が解除された場合には、一般に契約締結以前の状態に戻さなければならないとされる(原状回復義務を負う)。また、損害賠償の方法として、金銭で補償するのではなく損害が発生する以前の状態に戻す方法(原状回復による賠償)が認められる場合がある。

借家契約では、退去時の原状回復義務を特約していることが多いが、「本来存在したであろう状態」にまで戻せばよく、借りた当時の状態にする必要はないとされている。つまり、契約に定められた使用方法に従って通常の使用をしていれば、経年劣化があってもそのまま返還すればよい。

国土交通省が公表した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、賃借人が負担すべき原状回復費用は、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」の範囲に限るとしている。また、東京都の「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例(賃貸住宅紛争防止条例、いわゆる東京ルール)」(2004年10月施行)では、重要事項説明の際に、借主に対して退去時の通常損耗等の復旧は貸主が行なうことが基本であること、入居期間中の必要な修繕は貸主が行なうことが基本であること、契約で借主の負担としている具体的な事項などを書面で説明しなければならないとしている。

公示地価

地価公示により公示された「標準地」の価格のこと。

もっとも代表的な土地評価である地価公示は、地価公示法にもとづき、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月下旬に公表する土地評価である。

地価公示では、全国で選定された2万6,000地点の「標準地」について、毎年1月1日時点を基準日として各標準地につき2名以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、その正常な価格を土地鑑定委員会が判定し、毎年3月下旬に公示する。この公示された価格を「公示地価」という。

地価公示によって評価された公示地価は、一般の土地取引価格の指標となるだけでなく、公共用地の取得価格の算定基準ともなっている。

コワーキングオフィス

独立して働く人々が共同利用しながら働く事務所。そのような場所を「コワーキングスペース」ということもある。

「コワーキング(英語でco-working)」とは、独立して仕事しながらも、場を共有することによってコミュニケーションを深めることのできる働き方をいう。コワーキングに参加する人は、孤立した環境で働くことができる人が多いとされ、コワーキングによってインフォーマルなコミュニティが形成されることもある。

さ行

在留カード

日本に中長期間在留する者に対して交付されるカード。出入国管理および難民認定法に基づくカードで、在留資格および在留期間の適法性を証明するとともに、その交付は在留を許可する行為であるとされている。

在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否などが記載されている。また、16歳以上の者については顔写真も表示されている。

なお、中長期間在留する者とは、3ヵ月を超える在留期間が認められた者(外交官等を除く)が該当する。

敷金

建物賃貸借契約を新規に締結する際に、借主から貸主に対して、次のような目的のために預けられる金銭。

1.賃料の不払い・未払いに対する担保
2.契約により借主が負担すべき修繕費用や原状回復費用の前払い

将来契約が終了した場合には、上記1や2の金額を控除した残額が、借主に対して退去後に返還される。なお、関西等では「敷引」の慣行がある。

重説

重要事項説明」の略で、宅地建物取引業者が、売買契約賃貸借契約の締結に先立って、買主・借主に対して契約上の重要な事項を宅地建物取引業法第35条にもとづき説明すること。

この重要事項説明において宅地建物取引業者が買主・借主に対して交付する書面を「重要事項説明書」という。

不動産の買主・借主は、契約しようとする物件に関して十分な情報を持っていない事がほとんどで、また買主・借主が一般人である場合には不動産に関する法律知識が不十分であるため、思わぬ損害を受けてしまう可能性がある。

そこで、宅地建物取引業法第35条では、売買契約・賃貸借契約を締結するよりも前に、不動産取引を代理媒介する(または自ら売主として取引する)宅地建物取引業者が、買主・借主に契約上の重要な事項を説明するように法律で義務付けているのである。

重要事項説明にあたっては、説明する重要事項をすべて書面に記載し、買主・借主にその書面(重要事項説明書)を渡す必要があるとされている。この重要事項説明書には、宅地建物取引士が記名押印しなければならない。

さらに宅地建物取引業者は、宅地建物取引士を通じて、重要事項説明書の内容をわかりやすく買主・借主に説明しなければならない(このとき宅地建物取引士は宅地建物取引士証を提示しなければならない)。このように、一定以上の知識経験を有すると認められる有資格者(宅地建物取引士)が説明することにより、買主・借主に誤った説明がされないよう配慮されているのである。

重要事項説明書に記載すべき事項は、非常に広範囲にわたる。また契約の種類・物件の種類によっても説明すべき事項に多くの違いがある。

専任媒介契約

宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)であって、媒介の依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買または交換の媒介または代理を依頼することを禁ずる媒介契約をいう。

この契約の有効期間は、3月を超えることができないとされている(契約期間の更新は可能)。

専任媒介契約を締結した場合には、宅地建物取引業者は、契約の相手方を探索するため、7日以内に、媒介の目的物に関する事項を指定流通機構に登録しなければならないとされている。

相続税

相続遺贈によって取得した財産に対して賦課される税をいう。

この場合の財産には、相続時精算課税制度の適用を受けて贈与により取得した財産を含む。

納税義務者は財産を取得した者であるが、税額の算定に際しては各種控除などが適用されるので、十分な注意が必要である。

一般的な相続税額の算出手順は次の通りである。

① 課税価格の算出
取得した財産の価額から、一定の生命保険金等の非課税財産の価額、小規模宅地に係る減額相当額などを減じ、相続時精算課税に係る贈与財産価額や3年以内の贈与財産の価額などを加算して、課税財産額を算出する。
② 相続税総額の算出
ア 課税遺産総額の算出:①で算出した課税価格から、遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を減じる。
イ 法定相続人の取得金額の算出:アで算出した課税遺産総額を民法に定める法定相続分に従って取得したと仮定して、各法定相続人の取得金額を算出する。
ウ 法定相続分ごとの取得金額に応じた相続税額の算出:イで算出した金額に相続税率を乗じて算出する。税率は、取得金額に応じて、10%から55%まで累進的に定められている。
エ 相続税総額の確定:ウで算出した法的相続人ごとの相続税額を合計する。
③ 各人ごとの相続税額の算出
②エで確定した相続税総額を、各人の実際の相続割合に応じて按分し、相続税額を算出する。
各人ごとの相続税額=②エの価額×各人の相続割合
④ 各人の納付税額の算出
③の価額から、相続人の属性に応じて、配偶者税額軽減、未成年控除などの各種税額控除額を減じ、各人の納付税額を確定する。この場合、財産取得者が被相続人の配偶者、父母、子供以外の者である場合には、相続税額の20%相当額を加算して納付税額が算出されることに注意が必要である。

相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内に申告納税しなければならない。

た行

宅地建物取引業

宅地建物取引業とは「宅地建物の取引」を「業として行なう」ことである(法第2条第2号)。
ここで「宅地建物の取引」と「業として行なう」とは具体的には次の意味である。

1.「宅地建物の取引」とは次の1)および2)を指している。
1)宅地建物の売買・交換
2)宅地建物の売買・交換・貸借の媒介代理

上記1.の1)では「宅地建物の貸借」が除外されている。このため、自ら貸主として賃貸ビル・賃貸マンション・アパート・土地・駐車場を不特定多数の者に反復継続的に貸す行為は、宅地建物取引業から除外されているので、宅地建物取引業の免許を取得する必要がない。
またここでいう「宅地」とは、宅地建物取引業法上の宅地を指す(詳しくは「宅地(宅地建物取引業法における~)」を参照のこと)。

2.「業として行なう」とは、宅地建物の取引を「社会通念上事業の遂行と見ることができる程度に行なう状態」を指す。具体的な判断基準は宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方の「第2条第2号関係」に記載されているが、主な考え方は次のとおりである。
1)取引の対象者
広く一般の者を対象に取引を行なおうとするものは事業性が高く、取引の当事者に特定の関係が認められるものは事業性が低い。
2)取引の反復継続性
反復継続的に取引を行なおうとするものは事業性が高く、1回限りの取引として行なおうとするものは事業性が低い。

建売住宅

分譲宅地に建築され、敷地と一緒に販売される住宅をいう。

類似の用語として「売建住宅」があるが、建売住宅の建築主は不動産業者であるのに対して、売建住宅の建築主は宅地購入者である。

仲介手数料

宅地建物取引業者媒介により、売買・交換・貸借が成立した場合に、宅地建物取引業者が媒介契約にもとづき、依頼者から受け取ることができる報酬のこと(詳しくは報酬額の制限へ)。

月極駐車場

ひと月単位で賃貸される駐車場。通常、書面によって賃貸借の契約が締結される。また、常時駐車が可能であれば、当該駐車場は車庫証明における保管場所として認められる。

月極駐車場の賃貸借を仲介する場合に宅地建物取引業法が適用されるかどうかは、利用の様態に応じて判断されるが、駐車場設備を利用するだけであって土地を占有する権利等が発生しないような態様であれば、同法は適用されない。

定款

一般社団法人一般財団法人、株式会社等の基本的な規則またはそれを記した記録をいう。

それぞれの法人の設立の際に定められるのが通例である。

定款で定められる事項は、法人の種類等によって異なるが、目的、事務所所在地、組織、会計などが規定されている。

登記事項証明書

一筆の土地、一個の建物ごとに記録されている登記記録の全部または一部を、登記官が公的に証明した書面のこと。

従来は登記記録(登記用紙)が紙で調製されていたため、その写しを交付しており、これを登記簿謄本と呼んでいた。しかし、現在は登記事務が電子化されたため、登記記録は磁気ディスク上に調製されている。この電磁的な登記記録の記載事項を公的に証明したものが、登記事項証明書である。

なお、遠隔地の不動産に関する登記事項証明書であっても、登記情報交換システムを通じて最寄りの登記所でその交付を受けることができる。

な行

内見

不動産物件を実地に見学・調査すること。一般に、購入または賃借を検討するために実施する。

「内覧」とはほぼ同じ意味で使われている。

二重価格表示

自己の販売価格とともに、比較対照のため他の販売価格を併記して表示すること。自己の販売価格が安いことなどを示すために用いられるが、適正に表示しないと不当な表示とされ、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)による処分の対象となる。

例えば、同一ではない商品の価格や実際と異なる価格を比較対照価格として用いること、あいまいに二重価格を表示することなどは、不当な表示とされる。

延べ面積

建築物の各階の「床面積」の合計のこと。

なお、容積率を算出する際には、次の部分の床面積は延べ面積から「除外」できる扱いとなっているので、注意する必要がある。

1.自動車車庫・自転車置場に供する部分の床面積(床面積の合計の5分の1まで)
2.建築物の地階(その天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものに限る)の住宅の用途に供する部分の床面積(住宅の用途に供する床面積の合計の3分の1まで)
3.共同住宅については、共同住宅の共用廊下・共用階段・エントランスの部分の床面積(限度なし)

は行

媒介契約書

宅地建物取引業者は、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を作成し、宅地建物取引業者がその書面に記名押印し、依頼者(売主買主)にその書面を交付しなければならない。
このとき交付される書面のことを「媒介契約書」と呼んでいる(宅地建物取引業法第34条の2第1項)。

また、媒介契約書に記載されるべき事項は詳細に法定されている。

引渡し

物を支配する権能(占有権)を相手に移転すること。売買や賃貸借によって生じる民法上の概念である。現実に占有状態を実現することだけでなく、占有を移転する旨の意思表示も引渡しとされる。

引渡しを受けることは、動産に関する物権譲渡の対抗要件とされている。一方、不動産に関する物権譲渡の対抗要件は登記であって引き渡されることではないが、引渡しを受けることは、譲渡された事実を確定する上で重要な行為である。

建物の引渡しは、通常、鍵を渡すことによって行なわれる。

土地の引渡しは、建物付きであるか更地であるかによって費用の負担や手続きが異なる。たとえば、建物付きの土地を更地で引渡す場合には、引渡し前に、建物を解体し、埋蔵物を確認し、建物の滅失を登記するなどの作業が必要となる。一方、現況での引渡しであればこれらの手続きは不要である。いずれの場合も、引渡しを受けたら占有の事実を示す標識等を設置することが望ましい。

普通借家契約

賃貸借期間を更新できる借家契約(建物賃貸借契約)。借地借家法に基づき、更新しない旨を通知した場合などを除いて、従前の契約と同一の条件で契約が更新される。この場合、賃貸人が契約を更新しない旨を通知するためには、正当の事由が必要である。

なお、借家契約には、普通借家契約のほか、公正証書等によって契約の更新がない旨を定めて契約する「定期借家契約(定期建物賃貸借契約)」がある。

ポータルサイト

インターネットの入り口となるWebサイトをいう。

そのサイトでは、通常、各種情報源へのリンクが設定されているほか、検索エンジン、各種の情報提供、Webメールなどの付帯的なサービスが提供されることが多い。インターネットは各サイトが網の目のように連結されているため、必要なサイトに直接アクセスすることは困難で、一般的には、アクセスのためにポータルサイトを経由することとなる。

ポータルサイトは、利用者数が増えるほど、広告や電子商取引サービスなどによる収入が期待できるため、付帯的なサービスの向上を競っている。一方、Webを活用した顧客獲得などのためには、そのWebサイトへのアクセスを用意することが有効であるから、ポータルサイトでの露出度を高めるような工夫が必要である。不動産の販売や不動産サービスの広告にもWebサイトが活用されているが、そのサイトへのアクセスの大部分はポータルサイトを経由したものと考えてよい。

ポータルサイトとして有名なものは「Google」や「Yahoo!」であるが、これらはポータルサイトの持つ可能性を切り開き、Webを活用したビジネスを先導してきた検索エンジン系のサイトである。

ま行

未成年後見人

死別等により親権者がいない場合や、親がいても親権喪失等により親権を行なうことができない場合には、最後の親権者の指定(民法第839条)または家庭裁判所の職権による選任(民法第840条)によって、未成年者を後見する(保護する)者を置くことができる。
これを「未成年後見人」という。

未成年後見人は、未成年者の財産を管理し、法律行為を代表する権限を持つ(民法第859条)。

無効

法律行為がなされたときに、当事者が表示した意思のようには法律効果が生じないことをいう。

意思はあってもそもそも効果が生じないのであるから、法律行為は追認や時の経過によっても有効とはならない。また、原則として誰でも誰に対しても無効を主張できる。

無効となる法律行為としては、

1.公の秩序または善良の風俗に反する事項を目的とする行為(公序良俗違反)

2.法律によって効果が生じないとされている行為(強行規定違反)

3.虚偽の意思表示錯誤による行為

などがある。ただし、虚偽の意思表示による無効については善意の第三者に対抗できないし、錯誤による無効については重大な過失があれば無効にならないなど、一定の例外がある。

例えば売買契約が無効であれば、当事者に請求権は発生せず(代金の支払いや目的物を引き渡す義務はない)、すでに事実行為がなされているときには、その回復を請求できる(不当利得として代金や目的物の返還を求めることができる)。もっとも、契約無効の原因が公序良俗違反であるときの代金の支払い等については、不法な原因による給付であるとして不当利得の返還を請求できないとされるなど、無効の原因や契約の事情に応じて不当利得の取扱いに違いがある。

めやす賃料表示

住宅を借りる場合の費用負担を、一定の方法によってわかりやすく示すことをいう。

(公財)日本賃貸住宅管理協会(日管協)が提案している。

住宅を借りる場合には、純粋な賃料のほか、敷金礼金、契約更新料などさまざまな費用を負担する必要があり、しかもそれらの負担について地域による違いがある。そこでその把握を容易にし、トラブル等を未然に防止するなどのために、賃料を示すための共通の方法が必要であるとして提案された。共通の方法によって算定・表示されるのが「めやす賃料表示」である。

めやす賃料は、賃料、共益費管理費敷引金、礼金、更新料を含み、賃料等の条件の改定がないものと仮定して、4年間(定期借家の場合には契約期間)賃貸した場合の1ヵ月当たりの金額として算定される。従って、めやす賃料には、仲介手数料、更新手数料、原状回復費用、賃貸保証会社への保証委託料などは含まれない。

元付け

宅地建物の売買の仲介において、顧客から直接に売買の依頼を受けている立場にあることをいう。

一方、そのような依頼を受けた売買の相手方(売る依頼ならば買い手、買う依頼ならば売り手)を発見・仲介することを「客付け」と呼ぶ。

宅地建物の仲介業務においては、元付けを担う業者(元付け業者)と客付けを担う業者(客付け業者)が異なり、両者が共同して取引を成立させることが多い。

や行

家賃保証会社

賃貸住宅の賃借人が負う家賃支払債務について、連帯して保証する会社。

家賃保証会社の連帯保証責任は賃借人との保証委託契約によって成立する。委託契約の締結に当たっては、家賃保証会社が賃借人の家賃支払能力等について審査するのが通例である。


契約が成立すれば、賃借人は保証料を支払い、家賃保証会社は、賃借人が家賃支払債務に関して不履行が生じた場合に賃借人に代わって代位弁済する。この場合、代位弁済した家賃保証会社は賃借人に対する求償権を得ることとなる。

家賃保証は、従来、連帯保証人によることが多かったが、保証人に予期しない負担を負わせる可能性があること、保証人を依頼することが難しいことなどから、それに代わって、家賃保証を業務とする営業(保証ビジネス)が広まった。

家賃保証会社は、賃貸人の債務負担能力の審査、代位弁済した家賃の求償などを担うことから、健全な業務運営を確保し、賃借人の利益を保護する必要がある。そこで、国土交通省は、家賃保証会社が登録するしくみ(家賃債務保証業者登録制度)を創設した(2017年10月)。この制度によって、登録した家賃保証会社は、保証業務の実施に当たって、契約前の重要な事項に関する説明・書面交付、賃借人毎の弁済履歴を記録した帳簿の備付け、受領した家賃等についての自己の財産との分別管理、暴力団員等への求償権の譲渡等の禁止などのルールを遵守しなければならないとされている。

用益権

私法上の概念で、他人の土地を一定の目的のために使用収益する権利をいい、用益物権ともいわれる。

用益権とされるのは、民法で定める地上権永小作権地役権入会権のほか、特別法による鉱業権、漁業権などである。
なお、用益権は、担保物権とともに制限物権を構成する。

ら行

リースバック

不動産を売却し、その買い主から当該不動産を賃借する方法。英語のLeaseback。

リースバックすれば、不動産売却の収入を得た上で、その物件をそのまま使い続けることができる。一方で、賃借料を支払い続けなければならず、物件の利用に当たっては契約条件に従わなければならない。

リースバックは、利用・居住を継続したままで建物・住宅を資金化できることから、住宅ローン等の債権の任意整理やバランスシートの回復などに活用されている。

礼金

建物賃貸借契約を新規に締結する際に、借主から貸主に対して、契約締結の謝礼として支払われる金銭。将来契約が終了し、退去する際にも、借主に返還されない。

ローン契約

住宅などの購入に当たり、購入資金を金融機関から借り入れて支払い、通常、毎月決まった額を返済していく契約。契約締結に当たり比較的長期の返済計画を策定することから、「ローンを組む」などという。

 民法上の「金銭消費貸借契約」の一種であるが、担保手段として売買対象となる住宅に金融機関の抵当権が設定されることが通常であり、元利均等方式が採用されることが多い。勤労者の場合、ボーナスが支給される6月と12月などに、やや多めに返済する契約にして、通常月の返済額を減らしたり、返済期間を短くしたりすることもよく行なわれている。

 返済を滞納または返済不能に陥ったと判断されると、催告を通じて金融機関が抵当権を実行する(住宅を競売にかける)可能性がある。

わ行

分かれ

不動産業界で使われる用語の意味としては、不動産取引(主として売買)の媒介報酬を配分すること、あるいはその際のルールをいう。

一つの取引に対する媒介報酬は、売り手と買い手が支払う報酬の総額であるが、複数の宅地建物取引業者が取引に関与した場合には、その配分を決めなければならない。配分についての決まったルールはないが、取引に当たっての貢献度に応じて配分されるのが通例である。

例えば、売り手・買い手が異なる業者に取引の媒介を依頼して成約すれば、一般的には、それぞれの依頼者が支払う報酬をそれぞれの業者がそのまま受け取るという「分かれ」となる。